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ecdysisは「脱皮」。管理者・心炎の悲嘆と絶望、歓喜と希望のあやなす過去・現在・未来を見つめ、アダルトチルドレンより回復する為のブログ。メール:flamework52@gmail.com


by 心炎

ACは自分の過去にとらわれて全否定しようとする

 私の生まれ育った家庭は地獄だった。
 だから、私は「地獄の子」なのだ。
 天国にあこがれたけれど、そこへ昇っていく方法を教えられなかった。
 地獄を天国にしたいと願ったが、家族も私もその方法を知らなかった。
 自分たちが病んで狂っているのを自覚しないままに天国を求めれば、
 そこに現れるのは別の地獄だけなのだということもわからなかった。

 私が、18歳の心を病んだ浪人時代にしきりに願っていたことは、 「自分の生い立ちの全否定」だった。
 フラッシュバックを起こすほどの苦痛の連続だった18歳までの自分の体験のすべてを否定し、なかったことにしたかった。

 そのために、本気で改名も考えたし、これまでの記憶がすべてなくなってしまわないかと思っていた。
 高校3年の頃から、自分が自分であること、劣悪な家庭環境の構成員のひとりであるという自己認識が耐え難かった。

 自分が自分であるという事実を受け入れることが苦痛だった。こんなひどい家庭に育ったという記憶に追い詰められていたのだ。
 そのために、そんな自分の意識から逃れるために酒に手を出して泥酔することを覚えた、
 いま思えば、それは「消えてなくなりたい」すなわち「死にたい」という意志の代弁行為だった。

 ふりかえれば「自分の生い立ちの悲惨な記憶を全否定するか逆転して埋め合わせたい」という動機で行動したことはみな失敗だった。
 自覚できなくとも、変えられない過去をなんとかしようという気持ちに影響された行いは、どれほど前向きで常識的にまちがいでないことでも、すべて徒労に終わった。
 過去の心の傷や穴を埋めるためではなく、今の自分に正直に楽にいられることを優先させるべきだったのかもしれない。
 しかし、そんなことは今だから思えるのであって、生い立ちの記憶にさいなまれている者に、別の選択肢が思い浮かぶような余裕はなかった。

 そこまで深刻な、けれどもアダルトチャイルドには「普通にある意識状態」を経験していたのだから、あのままなら遅かれ早かれ自分で死を選んでいただろう。

 そうならなかったのは、浪人時代の終わりに下宿の隣室のケンカ友達だったNが、大学に受かってひとあし先に引っ越すときに、わかれぎわに渡してくれた1冊のギデオン・バイブルだった。
 生まれてはじめて手にした「新約聖書」だったが、その旅館やホテルによく置いてある本が、大学入学以降の私の人生を変えた。

 私は洗礼を受けていないし、どこの教会にも教派にも属したことはないし、信じているのは神道なのでクリスチャンではありえない。
 だが、そのギデオン・バイブルのキリストの言葉によって、それまでとは違った方向性に生き方が引っ張られたのはまちがいない。
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by ecdysis | 2015-03-11 19:44 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(0)