過去は変えられないはずなのに

 私は求めた。自分の生い立ちのみじめさを埋めてくれるはなやかさを。
 私は願った。自分のみじめな記憶を忘れさせてくれる有頂天な人間関係を。
 私は欲した。自分の育った家庭のトラウマを帳消しにしてくれる完全な家庭を。

 自分の生い立ちと過去を消し去りたかった。すでに17歳で私はそれを切望した。そのためにいろんなものに逃避し、妄想を抱き、苦しまないで楽に生きられる最高の道を得ようとした。

 だが、そんなものはどこにもなかった。私の過去をワイプし、トラウマをデリートし、暗がりを至福の光輝で祓い清めてくれる人物も、どこにもいなかった。

 なかった。私の過去の心の傷と記憶を、洗い清め、なかったことにしてくれる環境も人間関係も、どこにも存在しなかった。みじめな境遇の記憶という意識の闇を消し去って、忘れさせてくれることも、存在しなかった。

 自分の力で、自分の頭で、自分の経験で、私はそれらを獲得しようとしてきた。
 だが、愚かしいまでに無力であった。

 私は、自分に必要なものは、自分でわかっていると思い込んでいた。
 それがまちがいだった。

 私に必要なのは、過去を消してくれるものや忘れさせてくれるものではない。
 過去にこだわり苦しむ、この心が救われることなのだ。

 神様、もう私は自力ではどうにもなりません。
 どうか、私のこの過去の生い立ちのみじめさに苦しむ心を、お救いください。
 救ってください。どうか、どうか。

 変えられない過去を変えようとし続ける、わが哀れなる心を、どうか救ってください。
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by ecdysis | 2009-02-12 01:41 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(0)