なくしたものの大きさは

 私には、アルコール依存症で30歳代前半で死去した弟がいる。その弟の命日が過ぎた。

 10歳以上も年下で、彼が乳児だったころから、おしめをかえたり、ミルクを哺乳瓶で飲ませたり、お風呂にいれたり、おぶって歩いたりした。昔の「子守」のようなことを、忙しい親にかわってやっていた。だから兄と弟という側面と父と息子という側面とがあったのは確かだ。

 だからこそ、彼が長年の大量飲酒のあげく、自殺するように亡くなったことが、たとえようもない悲嘆と喪失感をもたらした。彼が死にたがっていたことは知っていた。おそらく、彼のそんな気持ちをわかっていたのは、私だけだったと思う。

 彼が亡くなってから、そこだけ時間がとまっている。今でも思い出すと目に涙が浮かび、いいようのない悲しみがこみあげてくる。夢でも泣き続けることがたまにある。

 心を傾けてその幸福をねがった家族を失ったものの気持ちは、癒されない「喪失感」そのものだ。
 しかし、それを抱えたままで、遺族は生き続けなければならない。

 死んでこの世を去れば、またあの世で会えるだろうことは信じている。
 けれども、信じていても、悲しいものは悲しいし、喪失感と悲嘆と慟哭は消滅しない。
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Commented by BJ at 2009-11-28 03:55 x
それは悲しい。しかし失ったものの喪失感が失われた者の分まで生きようとする意志を上回ってはいけない。泣きながらでも希望を持って走り続けよう。
Commented by 心炎 at 2009-11-28 12:01 x
 BJさん、ようこそ。いたわりと励ましのお言葉をありがとうございます。おっしゃる通りです。遺族が泣いてばかりでは、故人の霊も安心できないでしょうから。

「泣きながらでも希望をもって」というところに、BJさんらしい強さと優しさが表現されていると思いました。時間は止まっていても、生き続けることはもちろんやめません。

 今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m
Commented by ぬこ at 2009-11-29 02:22 x
夢の中では、いつも元気な姿で現れて。
夢から醒めると悲しい現実があります。
Commented by 心炎 at 2009-11-30 01:53 x
ぬこさん、AAやACの自助グループなどで知り合った人に、亡き弟の生きていたころの話をして、とても共感してくれて、弟の霊前にお供え物をと、贈り物をしてくれました。心から感謝しています。

 こうして、死んだはずのひとが、生きている人に影響を与え動かすという事実は、とても不思議な気がします。夢に出てくる弟は、私の場合、あまり幸福そうではありません。でも夢からさめると、霊前に祈りをささげ、神様や祖先の霊たちが、彼の魂をすくってくださるように祈願しています。

 そして、故人の供養のために、一日一善の実践をこころがけています。
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by ecdysis | 2009-11-28 01:50 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(4)