無力感の根源

 私が受診していた、さる高名な精神科医は「虐待を受けた子供は成長しても無力感に苦しむ」ということを語っていた。

 私は七歳のときに母から、九歳のときに父母から虐待を受けた。前者に対しては精神科医は「去勢のストーリーが成立している」と診断した。

 これまで、私はそのことに、あまり関心を払わないできた。
 だが、自分がどれほど「家庭願望」という形で「有力感」を得ようとしてきたかを認めたら、その原因の「無力感」に目を向ざるをえない。


 私は、母と父の虐待を受けることで、本来あるべき男性的な有力感を喪失してきたのだろう。

 父母から、肉体にも精神にも過酷な暴力を受けて存在否定された小学校3年の虐待のあとまもなく、私はあることを覚えた。

 それは、部屋の中で、ひとりでおもちゃの町をつくり、自分が怪獣になって、その町をめちゃめちゃにこわしているときに起こった。

 性欲がにわかにわいて、生まれて初めて自慰行為をしたのだ。
 これは、虐待による精神的な去勢と密接な関係があるようだ。
 性に関する問題についても、当然のことながら「棚卸し」はおよぶ。

 結婚願望とセックスの問題は必然的にむすびつく。
 かくも本気で「父になること」「夫になること」を求めたのは、言い換えれば「親に奪われた男性性の有力感」を取り戻したいという欲求のなせるわざだったのか。

 結論を出すには早すぎる。が、九歳か十歳くらいで、性とはなんの関係もない、一人遊びの破壊行為の最中に自慰の欲求が生じたという事実は、重要な出来事として見ていく対象だと思う。
 むろんのこと、祖父や父が、祖母や母に対して「バタラー」だったという、わが生家の悪しき要素を私で止めるためにも、決してないがしろにできない問題だ。
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by ecdysis | 2010-01-18 01:54 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(0)