結婚なんてロクなものじゃない、と思っていた

 やはり、率直に正直にふりかえれば、自分は祖父母や父母のありようを見て育つ中で、「結婚」「家庭の運営」というものに絶望感を、すでに幼少のころから持っていたのだと、最近気づいた。

 特に、母が祖母からものすごくひどい目にあわされ、夫である父も酒乱のひどい人間なので、私はいつのまにか「母は、結婚さえしなければ、こんなひどい人生にはならなかったはずだ」と思うようになっていた。
 
 結婚さえしなければ、独身でさえいれば、母はこんなみじめな生き方をしないで済んだのだと、私は血の涙を流すような想いで胸に刻んでいた。それを、最近まで思い出せずにきた。

 なんという逆説であろう。ちょっと前までは「結婚さえすれば幸せになれる」という幻想にすがって生きてきたのに、そう思い込む前の自分は「結婚さえしなければ不幸にならずにすむ」という全く逆の信念を持っていたのだ。

 だから、いざ結婚しようとすると、訳のわからない恐怖心に襲われて夜も眠れぬ強迫観念にさいなまれることを繰り返してきたわけだ。
 
 私の結婚恐怖症は、母の家庭の中での不遇に対する、恐怖や恨みや怒りに由来する。
 それは、母の人生であって、私の人生ではない。それはわかっている。
 だが、母が結婚さえしなければ、こんな筆舌に尽くしがたい苦悩と涙と痛みと屈辱に満ちた日々を送らないで済んだはずだという悲憤は、私の中にまざまざと残っていて、少しも癒えてはいない。

「結婚なんかするからだ。独身だったら、こんな目にあわずに済んだのに」

 私の子供の意識はそう思っている。それが、母の想いを敏感に感じ取って再現したものなのか、私が自分でそう思い込んだものかはわからない。だが、いずれにせよ「結婚なんてロクなものじゃない」という観念は、中学2年までは、学童期の自分の意識にしっかりとあったものだ。

 そう、泥酔した母に泣きすがられて、自分以外にこの母を幸せにしてやれる人間はいないのだと、悲愴すぎる決意を固めるあの晩までは。
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Commented by BJ at 2011-05-09 10:09 x
結婚で成功して幸せになることが、母を虐待した家族への報復かも知れませぬな。
Commented by 黄泉 at 2011-05-10 02:16 x
結婚なんてろくなもんじゃないですよ 結婚する前は【婚約時】浮かれていたけど、いざ結婚すれば、嫁は裏切り慰謝料1千万盗られて終わりましたよ ちなみに、離婚の理由は嫁の浮気なのに、慰謝料盗られて、今も思い出すと怒りがこみあげますけど… 今更遅いですけど、忘れたい過去です 結婚すれば分かる事もありますね 長文失礼しましたm(_ _)m
Commented by 心炎 at 2011-05-11 09:22 x
>BJさん
ありがとうございます。そういう風に前向きに気持ちが転換できると楽なのですが、なかなか難しいです。

>黄泉さん
お久しぶりです。それは大変な「結婚」でしたね。うーんと考えこんでしまいました。かなりのトラウマですよね。あまりにもひどいのでコメントする言葉が見つかりません。
Commented by 黄泉 at 2011-05-12 00:33 x
心炎さん お久しぶりです 確かに返事に困る内容でした ですが、返事を書いて戴いた、心炎さんの器を大きさといいますか、心の広さといいますか 適切な言葉は出てきませんが、返事戴いた事嬉しく思います それでは失礼しますm(_ _)m
Commented by lost at 2011-09-17 19:28 x
はじめまして。私も最近になって、生きづらさが、多分ACが原因であろうと今頃になって気づき、なんとかしたいと思い、関連ブログなど見るようになりました。ecdysisさんの美しいデザイン、深くするどいブログに感服して、メールしました。これからも、楽しみに読ませていただきます。
Commented by 心炎 at 2011-09-19 02:01 x
lostさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
お互い生きづらさとつきあいながらの日常だと思います。
いろいろありますが、めげないで、ちょっとずつでも良い方へ変わっていければと願っています。lostさんも、失ったものを補って余りある幸いに満たされますように。
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by ecdysis | 2011-05-09 00:36 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(6)