ACと大予言と機能不全家庭と

 かつて私は、自分が盲信したカルト教祖が喧伝していたし、世間でも騒がれていた「終末思想」やいわゆる「ノストラダムスの大予言」なるものを信じていた。
 いつか、ドカンとでかいのが来て、世界がいっぺんに破滅するということを信じ、期待し、そのあとに幸福な世界が建て直されるのだと。

 いまおもえば、まったくばかげたことだったが、それもまた自分のAC性の発現だったと思えてならない。
 「いつか、ドカンと大きな破滅が来る」というのは、実際に私が家庭の中で日常的に感じていたことだからだ。父が祖父が祖母が、酒を飲み、あるいは精神の異常によって、子供の私にはまったく原因不明な気まぐれさで、家族をおびやかしていたのだ。 

 現在なら「アルコール依存症者と共依存妻の人格障害による機能不全家庭」とひとことでくくられる典型的ケースだが、子供のころにはそんな言葉などどこにもない。
 子供の私にとって、家庭は日常的に地獄であり、大人たちの無差別な精神異常の爆弾が、いつ降ってくるかわからない環境だった。

 それは、実家にいる間、ほとんど毎日続いていたのだ。

 子供の私には理解も共感もできない、大人たちの暴力、罵声、怒声、悲憤の絶叫の応酬、茶碗が割られ、箸が折られ、ガラスの割れ砕ける音が絶えなかった。
 また、テレビや家具に投げつけられたものがぶつかり、電化製品が壊れて落ちる音が、毎夕食ごとに、私が大人になってからは仕事に出ようとしない父を罵って行かせようとする母の絶叫が毎朝加わった。
 父が怒りにまかせてサッシを割り戸棚や皿などを壊すたびに、床が砕けたガラス・食器の破片の海になったのを何度目撃したか知れない。
 私が子供のころは母が、そのあとかたづけをし、長じては私がかたづけるようになった。壊した本人の父親がかたづけたのをみたことがない。アルコール依存症者とはそういうものだ。

 それらの暴力と破壊の音と、恐怖と不安と緊張ばかりを起こさせる怒声と絶叫と憤激と悲嘆の声が、一体となって私をおびやかし健康な心を萎縮させ、言葉以前の段階で人生に闇をもたらした。
 その闇が、大人になって「いつかドカンとでかい終わりが来る」という終末思想になったことは、ふりかえれば歴然としている。

 子供の私は家庭の中で、いつも危険と不安と悪意の被曝を受けていたのだ。そのたびに「もうだめだ。もう終わりだ」と感じていたはずなのだ。
 ただ、あまりにもそれが度重なったため、やがて麻痺して自分でもわからなくなってしまっただけで、心の奥底では「感じ続けていた」のはまちがいない。
 そうでなければ、終末思想とそこからの救済という虚偽を流布するカルト教祖を、頭から信じ込むなどということをするわけがない。

 だから、さまざまな宗教団体やカルト教祖にだまされる若者たちが絶えないというのは、彼らの多くがなんらかの機能不全家庭の悪影響を受けてきた結果ではないかと思う。
 子供たちをACにする家庭が、いかに多いことかと思う。そういう家庭が減らなければ、いくら天下国家を、教育を論じたところで、子供たちの未来がよくなるわけがない。

 だまされやすいACたちに、終末思想を吹き込む「宗教屋」どものほとんどは、「人集め・カネ集め」が目的の詐欺師同然の連中だ。中世ヨーロッパでいえば「免罪符売り」みたいなものかもしれない。
 人とカネが集まる宗教法人の世俗性と反聖性は、純粋かつ傷ついたACの若者たちが想像もできないほど、汚く罪ぶかくえげつないものだ。

 宗教やカルト思想を商売道具にし、「人を欺くことをなりわいとする教祖・幹部」連中に憤りを禁じ得ない。彼らのやっていることは、霊的に見ればドラッグの売人と変わるところがない。
 生まれおちて育った家庭が、あまりにもひどかったことで、大人になって心を病んでしまうのは、ごくごく当り前のことだ。

 そういう人々の一人として、自分もふくめて、多くのACが一人でも多く回復し、健康な心を取り戻せるようになっていただきたいと心から思う。
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Commented by riko at 2014-01-08 21:15 x
心炎さん、今年もよろしくお願いします。

年末年始は実家の騒動に振り回されてしまいました。
いつものことですが、疲れます。

あの一族(他人事のような表現ですが)は、程度の差はあれ、皆ヘンです。これまで接点が少なかったために気がつかなかっただけで、叔父も叔母たちも、ACに間違いないと思われます。
身近にいたから、自分の母親だけが異常に感じられていたのですね。


これから母親とどう関わっていこうかと思案中です。

行き詰まった時は、心炎さんのアドバイスを思い出すようにしています。
母の人生と私の人生は別であるのだと割り切った上、で支援していきたいと思います。
Commented by 心炎 at 2014-01-09 15:56 x
 rikoさん、こちらこそ今年もよろしくおねがいいたします。ACの原家族というのは、どうしてこう盆暮れ正月になるとトラブル爆発になるんでしょうね。ACの家族が帰省して集まると、問題をもったものどうしが集まるから、普段にはないような問題がもちあがるんでしょうね。とにかく、原家族からは、かなう限り距離をおいた方がいいです。

rikoさんが、今年一年、より回復して幸せになりますようにお祈りします。

Commented by riko at 2014-01-13 11:57 x
心炎さん、ありがとうございます。
ここは笑うところではないのでしょうけど、笑っちゃいました。
そういえば、昨年の正月もおお騒動でした(笑)


自分の人格に問題があると認識しないまま一生を終えるというのがどういうことなのかを、身近な人たちを通して思い知らされています。

残念なことです
Commented by 文太 at 2014-02-09 18:02 x
どこの家も多かれ少なかれ盆正月はトラブル塗れだと思いますよ。

ノストラダムスといえば東日本大震災が近い感じじゃないでしょうか?

いくつもの町を津波が飲み込んでしまいました。
Commented at 2014-04-23 08:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by ecdysis | 2014-01-08 04:33 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(5)