母親の「妄想」を「真実」と信じたことからAC性が重くなった。

 私がひどいACとして生きざるをえなくなった証拠は、原家族との関係が不健全であったことと、自分が継続的に親密な男女関係を維持できずに結婚にすら至れなかったことであると、これまで何度も書いてきた。
 私が、「結婚」というものにとらわれて執着し、それが実現できないことに罪悪感を抱いてうつ病になったのは、母親ゆえであったことも書いてきた。それが、特に「恋愛結婚でなければならない」という思い込みをともなったもので、私が中学生のときにアルコール依存に陥った母が繰り返していた呪縛だったことも書いた。

 だが、最近、当時、夕食のあとに酔った母がためいきとともに、次のようにいっていたことを思い出した。

「わたしは、『サザエさん』やホームドラマのような家庭をつくりたいんだ」

 実は、この言葉こそが、その後の私の恋愛観や結婚観に、深刻な誤りをもたらしAC性を悪化させていったのだと、最近、やっと得心した。
 キリストの言葉に触れる五年も前に、この母の言葉が私の心に植え付けられ、信じ込んだために、その後の人生に詐欺や偽りとの出会いが、より招来されやすくなったのだと、やっとわかった。

『サザエさん』は、漫画・アニメであり、ホームドラマもTVの中の脚本にもとづく劇であり、どちらも「フィクション」だ。
 今でこそ、「フィクションで現実ではない」「読者・視聴者の願望を代弁して人気を博した虚構」と言い切ることができる。
 だが、まだ世間知らずの中学生で、母親の希望を叶えることだけを自分の使命と思い込んでいた少年にとって、彼女の一言は重大なミッションと受け止めるほかなかった。今なら、酔った母の気晴らしの言葉だったといえるが、当時はそんなことまで思い及ばない。アルコール依存症者の酔った上での一言は、幼い家族がいる家庭ではきわめて重大なのだ。

 私の弟も、弟が小学生の頃、酔っぱらった父親が「人を殺して肉を食ってみたい」といったのを信じ込み、いつか自分は父親に殺されて肉を食われるにちがいないと恐怖感を抱いた。それ以降、弟は父親を恐れ憎むようになり、いつか父親に殺されるという妄想を肥大させ、アルコール依存になり、父親と酔って喧嘩を繰り返しながら三十三歳で死んでしまった。
 私も酔って弟を傷つけるようなことを言ったり、喧嘩して蹴りを入れたりしたこともあるので、アルコール依存者は、家族を傷つけないためには酒をやめるしかないと思う。

 酔って覚えていない自分の暴言で、家族が傷ついてどれだけ恨み憎んでいるか。そこに自覚のないアルコール依存症者が、断酒できたからといって簡単に埋め合わせできるわけがないということが、私の家族の例だけでも証明される。

 それはさておき、酔った母親のひとことを信じた私は、それをどう受け止めたか。
 簡単にいうと「そうでなければならない」と思い込んでしまったのだ。虚構であるものを、そうとは思わず「現実化すべき目標」とみなしてしまった。それは、今にして思えば、蜃気楼のオアシスを実在すると信じて砂漠に歩みだすような愚行であった。

 緑と水の豊かなオアシスにきっとたどり着けると思いきや、いつまでたっても近づかない。中学以来、四十五年もさまよい続け渇き続けて、やっと得た結論が「オアシスは幻影であり実在しないものだった」。愕然とする結論である。酔っ払いの一言に重大な罪ありである。
 いつまでも眼前に浮かび続けるオアシスの幻影を実在と信じ、それが見えるがためにこそ、辛い渇きの砂漠も歩いて来られた。
 しかし、もうだめだ。もう偽りを目標とすることはできない。

 偽りのオアシス像を信じ込んでいた人間だったからこそ、詐欺師やだます者たちが、腐ったものに蠅がたかるようにやってきたのだ。
 私が信じ込んできた「偽りの生き方」の腐臭に引き寄せられて、偽り者たちがまわりに集まった。
 それこそが、私の人生に最初に現れた真理真実らしきものが虚偽・偽善・詐欺だった理由である。

 詐欺師は、人の欲望という弱点をつくのが得意だから、私も母の願いをかなえんとする欲望につけこまれた

 人生最初のまっとうな規範は旧新約聖書であったけれども、私の規範探しは、神道・国学へと広がり、仏教・儒教・道教へと学びの対象を広げ続けている。それらを長年にわたって学んで自助会にも通って、これまでの経験と知識と洞察力を総合的に動員して自己省察した結果、やっと「母の一言に縛られた自分の生き方」に気づくことができた。

 だが、この気づきは、私の力によるものではない。神々の導きと偉大な先達の教えと、かかわってくれた多くの老若男女の友人知己たちのお陰である。自分の生き方に変化が生じるような大きな気づきを、自力独力で得ることなど誰にもできはしない。気づきの天使が心のドアをたたいてくれる音に気づくまで、霊的難聴に陥っている私たちは、だれしも実に多くの条件と積み重ねが必要なのだ。

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by ecdysis | 2018-03-27 02:09 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(0)