完全な幸福を追って

 私は、自分の育った家庭環境に嘆き、恨み、憎んで、自分が生きるに値しないと思うようになた。

 私の体験した恋愛や女性関係も、いつも病的で長続きせず、恋愛依存症の「症状」にあてはまるケースが大半だった。「普通の恋愛」を望みながら、なぜそうならなかったのだろうか。酒に酔うのと恋に酔うのと、よく似ていると気づいて、ここしばらくはショックをひきずっていたが、やっと「酔い」を求めることの原因がわかってきた。

 過去は、まるごと100%、救いも幸福感もない男女関係だったわけではない。幸福なときもあった。思い出になることもあった。

 これまでの私は、できなかったことや、別れたことや、失望や幻滅したことばかりを、涙とともに指折り数えることだけだった。そうした不幸なかかわり方をしてしまった恋愛にも、幸せなときがあったのだと、いま思えるようになってきた。

 かえりみれば、私は、どの恋愛にも「不満」だった。いろんな悪条件を感じては、自分の求める理想状態にならないと悲しみ、そんな自分をあわれんだ。ほかの人たちは、もっと楽しい、満足できる、すてきな恋をし、結婚をしているのだろうと、ほぞをかんでいた。

 だが、ほかの人はほかの人で、私は私なのだ。比べても意味はない。

 私が「不満」だったのは、自分は「完全な幸福」を感じるまでは、決して満足しないという思い込みのせいだったのだ。いまとなれば、そんなものは、どこにもなく、だれにも味わえるはずがない。

 私が恋愛や家庭に求めていたのは、次のようなものだ。

 「完全な幸福」 「完全な楽しみ」 「完全な快感」 「完全な安心」

 どれもこれも、現実には達成しえないものばかり。きれいな「妄想」だ。

 そんな誇大妄想的な恋愛観を当たり前と思っていたら、長続きする恋などできるわけがない。だれにも満足できるはずもない。

 人間はひとりひとりが、不完全で欠点や偏りがある。その人間どうしがかかわりを持つのだから、問題や傷や理想にたがうところがあって当然なのだ。

 あまりにも不幸な家庭で育ったので、「美しい妄想」だけが先行し、それに「酔う」ことで、自分の精神を保持してきたのだ。

 けれども、本当に好きになったら、無条件で恋をしたら、完全も不完全もない。理想も酔いも関係ない。ただ、相手を愛して好きになることだけで、幸せな気持ちになる。

 だから、「不満」はもう持たない。100%を求める理想や完全願望は捨てる。

「不完全な幸福」 「不完全な楽しみ」 「不完全な快感」 「不完全な安心」

 それらの中で、生きていく。
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Commented by アル症のRです。 at 2008-01-31 21:54 x
私は明日、金無垢のロレックスを質に流します。
酒にまつわる未練と執着を、今は苦しいけど後に開放されて本当の自由を得るために・・手放します・・
Commented at 2008-01-31 21:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hima at 2008-02-02 15:46 x
こんにちは。
私も、つい100%のものを自分にも、相手にも求めてしまいがちです。
不完全なもの、不完全な自分をそのまま愛する、受け入れるということ
それができれば、心は満たされるんでしょうか。
むずかしいですね。
長い時間をかければ変わってくるのかな…。
Commented by アル症のRです。 at 2008-02-03 00:48 x
私も完璧主義で、友達から「潔癖症なの?」と、言われるくらい徹底的です。(少し意味が違うかも知れませんが)世界一尊敬していた親父が、酔っ払って他人に媚を売った時に私は全てに背を向けてグレまくりました(T_T)
Commented by 心炎 at 2008-02-03 14:27 x
>himaさん
 完全・完璧主義は、生活や自分の心理状態のあらゆる側面に浸透しているようです。それに気づいたことは、自分にとって大きいことだと思います。自分が望む「完全状態」と、「現実のありのままの状態」との「落差」に、私たちはとても弱いので、それを受け入れることは痛みと苦しみをともないます。少しずつ時間をかけないことには、健全になるのは大変だろうと感じます。
 あせらず、気楽に、自分ひとりでなんとかしようとせずに、助け合っていきましょうね。

>Rさん
 親って、子供にとっては「神」なんだと思います。子は親を「ハイヤーパワ」にして育つのだろうと。その「神(完全な存在)」の「現実(不完全)」の姿を見せられたとき、子供はその「落差」にショックを受けて苦しみます。
 もしかすると、私たちの「完全主義」は「親の完全な保護と配慮への渇望」に起因するのかもしれません。でも、「完全」なのは「本当の神」だけだと思うようにしています。
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by ecdysis | 2008-01-31 13:15 | メンタルヘルス | Trackback | Comments(5)