親は子の「ハイヤーパワー」

 思い返すと、十代半ばまで、私にとって実母は「ハイヤーパワー」すなわち「神」だった。

 荒廃した家庭の中で、彼女は唯一の「正常」な「規範」だった。
 それが、あまりにも強烈で深刻だったので、思春期になって母が神ではなくなると同時に、私は別の「神」を見出さねばならなくなった。
 自分の「生きる規範」となる「神」の喪失は、なによりも恐ろしいことだったからだ。

 私は、母の後継の「神」として、自分の恋人や妻になってくれそうな人に、無意識にそれを求めていったのだ。そして、ついには、カルトの女教祖に、それを見出したと信じて狂信盲信に走った。もちろん、実態は神どころか、とんでもないくわせものだったわけだが。

 人知を超える存在は「目に見えない」し、人の形をしていない。
「神」の定義にもよるが、少なくともスローガンは美辞零句でも、本当はカネやヒト集めが動機であり目的であるような集団や人物は、神から、ハイヤーパワーから遠い存在だ。

 母親をハイヤーパワーにして生きざるをえなかった子供の私が、「アダルトチルドレン」の核なのだ。

「神」は目に見えないが、その「力」は確実に現実化するときがある。もちろん、それは個々人の心の変化として、人間関係の変貌という形で現れる。

「神」ならざるものを「神」にするとき、そこには必ず「高慢」が生まれる。人間なのに「神」になった者はもちろん、人間を「神」をみなして信じた、私のような者もまったく同じ傲慢と思いあがりの虜だ。

 逆にいえば、目に見えぬ「神」を「神」として、まっとうに信じるときに、本当の謙虚が訪れるのかもしれない。
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Commented by アル症のRです。 at 2008-02-10 16:18 x
来週の日曜日、朝10時ら「波瀾万丈」で、東 ちずるさんが20年間のACの苦悩と自殺願望を乗り越えた話をするそうです。
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by ecdysis | 2008-02-10 11:09 | メンタルヘルス | Trackback | Comments(1)