腑抜けの系譜3

 極度に酒癖が悪く、日本刀をふりまわして狂乱する父親を恐怖し、おびえ続ける幼子だった祖父は、まぎれもないACだったことが推察できる。

 酒乱でも稼ぎのよかった曽祖父の家は、富んでいたという話を裏書きするように、祖父は十五~六歳ごろから、地元の売春屋通いをはじめたという。酒と女におぼれるようになっていったわけで、曽祖父から受けた恐怖と緊張のトラウマが、女と酒に逃げる性癖に拍車をかけたのだろう。

 そんな祖父は、二十歳台ですでに酒のせいで痔を患い、徴兵検査に落伍している。戦時中の日本の地方で、徴兵に応じかねるというのは「男でない」というのと同じだったと母がいっていたから、それによる屈辱がどれだけ祖父の男性性を傷つけたか、想像するにあまりある。

 祖父の「男のプライド」はずたずたになり、ますます酒を飲むようになっていったと思われる。
 また、祖父の兄は美男子だったらしいが、祖父はどちらかといえば醜男の部類に属していたという。祖母が嫁にきたときに、祖母自身が「こんなブ男といっしょに暮らすのか」とがっかりしたらしいから、美男子ではない。

 しかし、祖母をめとったときには、祖父は当時としてはまちがいない晩婚年齢である二十七歳だったというから、もうその時点でアルコール依存が相当に進んでおり、面貌や風体に、中毒者に特有のだらしなさや不健康さがみなぎっていたと思われる。

 そんな男に、やはりゆきおくれの二十二歳という年齢で嫁した祖母は、まさにアル中の妻として一生の地獄をはじめたことになる。
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Commented by aa2 at 2008-03-11 21:55 x
いっぱい想い出して
いっぱい嘆いて
いっぱい怒っていっぱい泣きましょう

いっぱい

痛み



感じる

「自分」に

感謝して

Commented by 心炎 at 2008-03-16 12:59 x
>aa2さん

 ありがとうございます。「グリーフワーク」と感情の「寛解」ということですね。この「寛解」というのは、春の嵐のようなもので、これまで凍っていた感情が溶け出して、一時的にものすごく辛くなりますよね。だって、悪意も善意も高貴も卑俗も、天使も悪魔も、自分の中にあるものが、いっぺんに自覚されるんですから。自分の中で、今まで眠っていた天使と悪魔、良心と悪心が、同時に目覚めて動き、戦いだすのですから、その辛さたるや筆舌に尽くしがたいです・・・。
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by ecdysis | 2008-03-10 23:27 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(2)