たぶん、アダルトチャイルドどうしの男女や友人たちは、その心の奥にいる泣いている子供、おびえている子供、パニックになっている子供の気持ちでつながっている。

 皇帝ペンギンの雛たちは、親たちが海まで何週間も餌をとりに出かけている間、おしくらまんじゅう状態で密集の群れをつくる。厳寒の中で雛たちは、密集団の内側から外側へ渦状に順繰りに移動し、もっとも外側で一番寒い状態をひとまわり受け持つと、内側にまた巻き込まれて中心に向かう。この絶え間ない渦巻き運動によって維持される雛の密集団を「クレイシ」という。

 この親のいない状態での雛たちの自衛共存のための「クレイシ」を思うたびに、私は各種の自助団体を連想する。

 雛たちが親鳥の帰還を空腹と寒さに耐えて待つように、自助団体のメンバーも愛の飢餓と心の寒さに耐えて、ハイヤーパワーが自分のところに「帰還」してくるのを待っている。

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by ecdysis | 2018-04-28 00:23 | アダルトチルドレン・依存症 | Trackback | Comments(0)

無常の詩(うた)

無常の詩

私はこの人生において知った。
愛するものも愛されるものも消え去ることを。
愛さないものも愛されないものも消え去ることを。
愛したものも愛されたものも消え去ることを。
愛さなかったものも愛されなかったものも消え去ることを。
好きなものも嫌いなものも消え去る。
甘いものも苦いものも消え去る。
加害者も被害者も消え去る。
善人も悪人も消え去る。

およそ生じたもので滅せぬものはなく、現れたもので消えないものはない。
すべては変化し移りゆき、永遠に安定したもの固定したもの不動のものは何ひとつない。
万物流転の変動変遷のうちに変わらぬものは、
ただ森羅万象の無常の法則とおのれの行いの報いはおのれが得るという因果の法則のみ。

人類がいようといまいと大地は地震に震え、
海は波打ち川は流れ雨雪は降り、
火山は火を噴き野火と山火事に草木は燃え、
風は吹きわたり台風も竜巻も回転して荒れ狂い、
日月は変わらず天にあり、
晴れた日の空は青い。

人間がこの地上に一人もいなくなったとしても、大自然の営みは何も変わらない。
私がいてもいなくても、
あの人がいてもいなくても、
彼ら彼女らがいてもいなくても、
山河海陸気候天文の現象にはいっさい関係ないのである。

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by ecdysis | 2018-04-07 22:01 | メンタルヘルス | Trackback | Comments(0)

 以前、私の家庭願望は、マッチ売りの少女が売り物のマッチをすってその炎のあがる間だけ見える幻影のようなものだと、このブログにも書いた。その原因が、酔っ払った母親の妄想の言葉を真に受けたせいであったこともわかった。

 その母の妄想を基準にしていたがために、私は悲惨な地獄のような家庭環境を、自分の努力で天国に変えようと生きる目標にした。 18歳のその決意は、その後の恋愛や結婚についての考え方に、夢想癖に等しい非現実性を与えることになった。 まさに実在しない蜃気楼のオアシスを実在すると信じて歩き出してしまった。

 だからこそ、カルト宗教の地上天国・ユートピアを実現するという教義にひきつけられたのだし、自分の家庭を小天国にすれば、やがては全家庭も天国になって、全世界が地上天国になるという空想を実現可能だと思い込んだ。
 そのくせ、いつまでたっても実現できなかったし、むしろどんどん遠ざかってゆき、事態は悪くなることはあってもよくなることはなかった。

 今にして思えば、発端から目標まで、すべて空想妄想だったのだから、当然である。
 だが、それを空想妄想と思わないできたことが、私の失敗というか不明というか試練というか、とにかく現実・事実・真実に至らせない自家製障壁となった。 しかし、それもぜんぶムダだった。ムダだったという気づきが得られた以外は、みなムダな苦労だった。

 ユートピアという言葉は、16世紀の英国の思想家トマス・モアの著書に出てくる虚構の国家名だが、そのもとはギリシャ語の「ウ・トポス」すなわち「無の場所」ひらたくいえば「どこにもない場所」ということになる。

 なんたることだろうか。虚偽というものは百万回繰り返しても、真実を一粒も生み出さない。塩を百万回なめても決して砂糖にはならない。
 最初から最期まで、私の家庭願望は、アニメやドラマの世界、空想と妄想の中にしかない「どこにも無い場所」の虚構でしかなかった。
 さあ、茫然とするが涙を流す気にもなれない。洟をかんで欠伸をして背伸びをしてうなだれて「は~ぁ」とためいきついて、これからどうしたらいいか考える、一個のおじさんの姿をしたアダルトチャイルドになるのだ。


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by ecdysis | 2018-04-01 00:27 | メンタルヘルス | Trackback | Comments(0)